「もはや人口減少は、地方だけの問題ではない」
日本全体では人口が減少しつつも、継続的な流入人口増と納税者の増加が続いてきた東京。
どこか、他人事として「人口減少社会」を捉えていたのかもしれません。
令和に入った時点では過去最大の区民税収と叫ばれていた東京23区特別区。
しかしコロナによって人口増減も特別区民税収も、わずか2、3年で明らかな23区内格差が広がりました。
半年前、2月の日記からの続きです。
今回は、外国人の増減は考慮せず、区全体として説明します。
上記のグラフは、令和元年から令和4年9月までの住民基本台帳による板橋区の人口グラフです。
これまでは、都市部自治体の住宅街として典型的な流出入の数字を示していました。
毎年、4月に大学生や就職のタイミングで一気に人口が増え、3月に退去するというリズムでの増減です。
しかし、人口推計上は2027年まで継続的に増加し、最大58万人を超えると見越されていた板橋区人口は、現在56万8000人ほど。約1万人がいなくなりました。
コロナ禍による緊急事態宣言が発出されて以降、それまでのぼり調子だった板橋区の人口は、頭打ちどころか一気に減少へ転じます。
グラフでいうと、赤の斜線を手書きで書いた部分です。ここの面積が、ごっそりいなくなってしまった分です。
コロナ禍による、特別区民税収の減が続く自治体の傾向が見えてきた
では、人口が減ってどのような財政状況になったのでしょうか。
以下は、令和元年の特別区民税収額を1とした場合の、東京23区ごとの毎年の増減率です。
コロナ禍の影響がほとんどなかった2トップ、中央区と千代田区。
多少はあったが堅調な、渋谷区、台東区、品川区、港区。
令和3年度の前年課税年度、令和2年頃のコロナスタート時にほぼ状況を戻した、墨田区、文京区、江東区、豊島区、目黒区、新宿区、荒川区、北区。
コロナ前に復活しきれていない、足立区、世田谷区、大田区、中野区、葛飾区、板橋区、江戸川区。
そして、税収が大きく落ち込んだままの練馬区と、杉並区。この二区は多少意外です。
私の仮説では、コロナ禍の影響をモロに被ったのは、山手線外の住宅街の自治体です。
豊かな東京に隠れて気づきにくい、税収が伸び悩む自治体が固定化されてきました。
これは、18歳22歳の入学就職による流入に頼り切っていた、住宅を主とする自治体です。
今回は、状況をお見せしただけですが、今後しっかりと研究し、人口政策、住宅政策、労働環境整備、交通環境整備と、実際の政策に絞り込んでいくための調査をおこなっていきます。